知人が個展を開くということで、神楽坂のギャラリーに行ってきました。
気候もよく、気分も乗っていたので、
なんとなく自転車で出発!
愛車bianchiの前にiphoneを取り付け、
ナビソフトでグイグイ進みます。
う〜ん、う〜ん、
やっぱり坂を越えなくてはなりません。
お茶の水を越え、九段下を通過し、靖国神社で一休み。
神楽坂まではもう一息です。
そんな道中を楽しみながら無事、ギャラリーに到着。
昔の日本建築を改装した、とっても雰囲気のあるギャラリーです。
中に入って、知人にご挨拶。作品と、ギャラリーを体感。
その時、ふっと
ギャラリーって、何だろう???
と思いました。
建築家としての私の結論は「茶室」
茶室は、建築体系的にいうと「数寄屋建築」の一種となります。
お茶のための室(建物)で、そのお茶人を当時は趣味人と呼び、
さらに言うと「数寄者(すきもの)」と言っていたようです。
その昔、数寄者(茶人)として有名だった織田有楽(織田信長の弟)の屋敷があったのが、今の数寄屋橋。
名前になっちゃうあたり、相当な建物だったようです。
まさにものずき(物数寄)の世界
床の間の花を目立たせるために、庭の花を全部刈り取っておもてなし。
茶室の終わりの合図は「お箸」を落とす音で、隣室の亭主に知らせる。
等々
普通の人たちには、とても奇異に映ったことでしょう。
同時に、数寄者同士でも、その趣味嗜好は異なり、
なかなか相容れなかったようです。
うんうん
現代にもその伝統(?)は、順調に受け継がれています。
私はいくつか茶室(室ではなく、建物)を設計させていただきました。
そうした中で必ず耳にしたのが、
「これは茶室ではない!!!」
というお言葉。
10人中7〜8人がそういう言葉を口にしました。
最初は凹みましたが、発注者であるご亭主は、とてもニコニコとしています。
そう!、ご自身の嗜好、
「数寄」が生かされている(はっきりとした嗜好が見える)からこそ
そういう言われ方を周りからされるのであり、
一方でご亭主は大満足だったのです。
それから、私は、
自分がいいと思うもの&施主が望むもの
を創るお手伝いができたらなと、
真に思うようになりました。
ギャラリーって、現代の数寄者が集うための空間であり、
そういった意味で、「曖昧」ながらも「明確な嗜好(指向)」が必要なのだろうなと思います。
私は建物を見たとき、
「無意識に感じる意識」の原因を見つけることが好きです。
(この建物っていいな(無意識の意識)〜そう感じる理由はなに?って事です)
「ここ、ギャラリーかもねっ」って感じる無意識の理由は、
好き嫌いではなく、どれだけ数寄(好き)を感じられるかが勝負なんじゃないかなって、
そんな気がしています。
向後